2008年12月23日
約束

あるところにとっても裕福な男の子がいました。
とっても大きな豪邸に住み豪華なリムジンを何台も持っている、その国では指折りの大金持ちの家の子でした。
男の子はいつものように両親とリムジンに乗って教会にお祈りに行きました。
熱心にお祈りをささげている両親の横で男の子は考えていました。
「神様っているのかな?いるなら会ってみたいな。」
そういいながらキョロキョロと辺りを見回していました。
お祈りが済み、男の子はまたリムジンに乗って家へと向かいました。
帰り道、街中を通り過ぎるとクリスマスムード一色でした。
男の子は目をキラキラさせながらその風景を眺めていました。
すると、不意にあるものが男の子の目に飛び込んできました。
それは、細い路地裏で身体を寄せ合って寒さをしのいでいる子供たちでした。
「お父さん、お母さん、あの子達は何をしているの?とっても寒そうにしているよ?どうしたのかな?」
男の子が両親に聞くと、
「あの子達はね住む家がないんだよ、それにお父さんやお母さんがいるかも分からないかわいそうな子達なんだよ。」
と、男の子に言いました。
男の子は不思議でした。
いわゆるストリートチルドレンと呼ばれている子供たちのことを知らなかったからです。
家に着いて男の子は、いつも話を聞いてくれる庭師のところに行きました。
そして庭師の男に話しをしました。
「今、僕は町でストリートチルドレンと呼ばれる子達を見たんだ。僕とあまり年も変わらない感じだったよ。」
男の子がそういって話を始めると庭師の男は言いました。
「町にいるあの子達はかわいそうなもんだよ。食べるものもろ
くに無く寝るところも無いんだよ。この寒空の下で生きていくにはとっても大変なんだよ。」
男の子はかわいそうになって目に涙をいっぱいためていました。
庭師の男は、そんな男の子を見てこう言いました。
「私はね、庭師として仕事をさせてもらって毎月ご主人様から賃金をいただいている。そのお金で生活してるけど、なるたけ節約して残ったお金で子供たちにパンを買ってあげてるんだよ。」
それを聞いて男の子は言いました。
「僕にも使わないお小遣いがあるよ!それで食べ物を買ってあげよう!まってて今持ってくるから!」
そういって男の子は屋敷の中に入っていきました。
しばらくして男の子は戻ってきました。
両手に暖かそうな毛布を抱え、ポッケの中にはたくさんの金貨が入っていました。
それを庭師の男に渡すと、ぼくの代わりにお願いしますと頭を下げました。
庭師の男は、本当にいいのかい?と、何度も男の子に聞きました。
その度に男の子は 「うん!」 と言って目をキラキラ輝かせました。
それならと庭師の男は毛布と金貨を持って、屋敷の外に歩いていきました。
このやりとりを空の上から見ている男がいました。
その男は、心優しい男の子に愛の光を送りました。
男の子は愛の光に包まれキラキラと輝き始めました。
すると男の子は突然、空を見上げました。
空の上の男と男の子の目が合いました。
男の子が言いました。
「神様?神様なの?」
空の上の男は何も言わずに男の子を見つめていました。
「神様なんだね!僕に会いにきてくれたんだね!」
そう言って男の子は歓んで空に向かって手を振りました。
空の上の男はそれに答えるように男の子の所まで下りてきました。
そしてこう言いました。
「私は君に愛の光を届けにきたんだよ。ほら見てごらん。身体がキラキラ光ってるだろ?そしてハートが温かいだろ?」
男の子は自分の身体を見てビックリしました。
身体がキラキラ光っていてハートが温かかったからです。
「すご~い!!とっても温かくてとっても気持ちがいいや!」
男の子は温かいハートを押さえながらあることを思いつきました。
この愛の光をストリートチルドレンの子達の送ったらどうだろう?
きっと歓ぶはずだぞ!
そう言葉に出そうとした瞬間、男が言いました。
「私はこの愛の光を、全世界のストリートチルドレンの子達に送っているんだよ。毎日ね。」
そういってハートに手も置きました。
男の子は涙が溢れてきました。そしてこう言いました。
「僕はこれから町にいるストリートチルドレンの子達に自分ができることをしていくよ。」
それを聞いて、男はにっこりと笑うとまた空の上にあがっていきました。
「神様!また会いに来てくれる?」
空を見上げて男の子が言いました。
「いつでも会えるよ。会いたいときは私のことを心に思い描いてごらん。いつでも会えるから。」
空に上がった男が言いました。
「約束だよ!」
「ああ、約束だ!」
そういって男は消えていきました。
おわり