2008年06月26日
『餌がアダ 雑種ガモ受難』


やっぱり今の自然界には人間が大きな影響を与えてるんだね。
勘違いのやさしさや情けや動物愛護精神。
そんなものは自然界には存在しないのにね。
『餌がアダ 雑種ガモ受難』
「マルガモ」と呼ばれるカモが東京に出現している。頭はマガモのオス特有の鮮やかな濃い緑色、くちばしの一部や羽の色は、カルガモそっくりだ。マガモとカルガモという2種類のカモが交雑してできた固体、それがマルガモだ。
不忍池(東京・台東区)や清澄庭園(同江東区)では、約10種類のカモがひしめき合い、マルガモを始めとするさまざまな雑種が生まれている。カルガモとヒドリガモ、マガモとオナガガモなど、組み合わせも多彩だ。日本野鳥の会東京支部が昨年行った調査では、都内で少なくとも29羽の交雑種が確認されている。
都市の動物観察を続ける佐々木洋さん(45)は、人が与える餌を求めてカモが公園に集中し、過密な環境下で繁殖しようとした結果、交雑してしまったと見る。元神奈川県立生命の星・地球博物館学芸部長の中村一恵さんも、「公園などで与えられる餌はパンか弁当の残り物。人間の餌に適応したカモの間で、交雑種問題が起きている」と指摘する。
こうした都市餌付け行為には「度が過ぎれば動物本来の住み分けや、生態を変えてしまう危険性がある」(山階鳥類研究所の平岡孝研究員)との批判も多い。マガモは食用に飼われていたものが逃げ出して野生化し、餌の豊富な都会に集まるようになった。だが、人間の〝善意〟の結果生まれた雑種の運命は決して明るくない。多くの場合、群れから仲間外れにされるからだ。離れて泳ぎ、求愛行動しても実ることはほとんどない。
「背景には、安易に餌をやるといった誤った動物愛護精神があるのです」と佐々木さんは言う。
「飽食都市」で生活を営む野鳥の異変は、交雑だけではない。飲食店の残飯やゴミを目当てにするハシブトガラスにも影響が表れている。
東京都が2月に公表した都市のカラスの生息状況によると、個体数はピークとされる5年前の3万6400羽から、1万6600羽(約45%)まで減った。ところがこの間の捕獲数は8万5000羽に達する。埼玉、千葉両県などの周辺地域から大量に移入してくることに加え、豊富な餌の量が高い繁殖力を支えるからだ。都市鳥類研究所の川内博さん(57)らの調査では、都心から半径50キロ圏内に生息するカラスは14万羽。捕獲、増殖のいたちごっこは今も続いている。
これを裏付けるような都会カラスの特異現象を、都自然環境部計画課の岩崎浩美さん(46)は、確認している。昆虫や木の実を食べる田舎のカラスが一つの巣に産む卵の数が多くて2個なのに対し、都会のカラスは倍以上の4,5個産み付けていたのだ。「高カロリーの食生活が、卵の数にも表れている。餌に困らないので、他の野鳥に比べて幼鳥の死亡率も低い」
川内さんは「いくら捕獲しても、ゴミがある限りカラスは集まる。『増やした』のです」と訴える。抜本対策は、カラスが餌をあさる夜明け前にゴミを収集してしまうことだ。
13年前にこの方法を導入した札幌市では、「すすきの地区中心部に500~600羽いたカラスが、50~60まで減少した」(竹中万紀子・北海道東海大講師)。7年前に導入した東京・三鷹市でも、着実に効果を上げている。
都内最大の繁華街・歌舞伎町を抱える新宿区も一昨年から同様の対策を始めた。しかし繁華街の多くでは、飲食店の営業時間帯にゴミ収集車が走り回ることへの反発が、今も根強い。
讀賣新聞 朝刊 2007・3・15
勘違いのやさしさや情けや動物愛護精神。
そんなものは自然界には存在しないのにね。
『餌がアダ 雑種ガモ受難』
「マルガモ」と呼ばれるカモが東京に出現している。頭はマガモのオス特有の鮮やかな濃い緑色、くちばしの一部や羽の色は、カルガモそっくりだ。マガモとカルガモという2種類のカモが交雑してできた固体、それがマルガモだ。
不忍池(東京・台東区)や清澄庭園(同江東区)では、約10種類のカモがひしめき合い、マルガモを始めとするさまざまな雑種が生まれている。カルガモとヒドリガモ、マガモとオナガガモなど、組み合わせも多彩だ。日本野鳥の会東京支部が昨年行った調査では、都内で少なくとも29羽の交雑種が確認されている。
都市の動物観察を続ける佐々木洋さん(45)は、人が与える餌を求めてカモが公園に集中し、過密な環境下で繁殖しようとした結果、交雑してしまったと見る。元神奈川県立生命の星・地球博物館学芸部長の中村一恵さんも、「公園などで与えられる餌はパンか弁当の残り物。人間の餌に適応したカモの間で、交雑種問題が起きている」と指摘する。
こうした都市餌付け行為には「度が過ぎれば動物本来の住み分けや、生態を変えてしまう危険性がある」(山階鳥類研究所の平岡孝研究員)との批判も多い。マガモは食用に飼われていたものが逃げ出して野生化し、餌の豊富な都会に集まるようになった。だが、人間の〝善意〟の結果生まれた雑種の運命は決して明るくない。多くの場合、群れから仲間外れにされるからだ。離れて泳ぎ、求愛行動しても実ることはほとんどない。
「背景には、安易に餌をやるといった誤った動物愛護精神があるのです」と佐々木さんは言う。
「飽食都市」で生活を営む野鳥の異変は、交雑だけではない。飲食店の残飯やゴミを目当てにするハシブトガラスにも影響が表れている。
東京都が2月に公表した都市のカラスの生息状況によると、個体数はピークとされる5年前の3万6400羽から、1万6600羽(約45%)まで減った。ところがこの間の捕獲数は8万5000羽に達する。埼玉、千葉両県などの周辺地域から大量に移入してくることに加え、豊富な餌の量が高い繁殖力を支えるからだ。都市鳥類研究所の川内博さん(57)らの調査では、都心から半径50キロ圏内に生息するカラスは14万羽。捕獲、増殖のいたちごっこは今も続いている。
これを裏付けるような都会カラスの特異現象を、都自然環境部計画課の岩崎浩美さん(46)は、確認している。昆虫や木の実を食べる田舎のカラスが一つの巣に産む卵の数が多くて2個なのに対し、都会のカラスは倍以上の4,5個産み付けていたのだ。「高カロリーの食生活が、卵の数にも表れている。餌に困らないので、他の野鳥に比べて幼鳥の死亡率も低い」
川内さんは「いくら捕獲しても、ゴミがある限りカラスは集まる。『増やした』のです」と訴える。抜本対策は、カラスが餌をあさる夜明け前にゴミを収集してしまうことだ。
13年前にこの方法を導入した札幌市では、「すすきの地区中心部に500~600羽いたカラスが、50~60まで減少した」(竹中万紀子・北海道東海大講師)。7年前に導入した東京・三鷹市でも、着実に効果を上げている。
都内最大の繁華街・歌舞伎町を抱える新宿区も一昨年から同様の対策を始めた。しかし繁華街の多くでは、飲食店の営業時間帯にゴミ収集車が走り回ることへの反発が、今も根強い。
讀賣新聞 朝刊 2007・3・15
Posted by みっちゃん at 21:24│Comments(0)
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